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くろねこのどん(2017 小学校中学年 課題図書)

 

くろねこのどん

くろねこのどん

 

 「あめの日のどん」「かぜの日のどん」「ゆきの日のどん」「はれの日のどん」の4冊で出ていた作品をまとめて加筆、絵を書き直したとのこと。「どん」とは黒猫の名前、主人公は女の子えみちゃん。挿絵や描写から小学校の低学年と思われる。雨で遠足は中止、おかあさんはお買いもので、たいくつなえみちゃんのもとに飛びこんできた黒い子猫。「すてられたの?」とはなしかけると「ちがわい」と切り返してくるなまいきなチビ。せっかくミルクをあげたのに、お母さんが返ってきたときにはまた飛び出してしまい。外でであっても「よーい、どん」をするように駆け出していってしまうので「どん」とよぶようになります。えみちゃんが一人の時に現れて、一緒にジャングルごっこをしてくどんがクロヒョウになると、ちょっと怖くみえたり、学校ごっこで、にぼしを使って算数をしたりと、家ネコではないちょっと距離のあるノラ猫どんとの交流は、楽しい。どんと遊ぶイメージで書けば、感想文も書きやすいかもしれない。ただ、ラストどんが来なくなって落ち込んでいると、どんの結婚式に立ち会う、というあたりは、どんが来ないさびしさはわかりやすいけど、どんは大人になったから遊んでくれないのかと思うのだろうか? どんが成長したとしてえみちゃんはどうなのか? そのどんの成長を理解する成長? と、このへんが若干ストンとこない。まとめて書くのは大変かもしれない。