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サラとピンキー サンタの国へ行く

 

 クリスマスも近い雪が降った日。サラとピンキーは、こんな日にはサンタの国に遊びに行こう! と決めて小さな赤いソリを外に出します。たちまちソリは、トナカイがひく立派なソリになりサンタさんの国に到着。二人はあの有名な「サラとピンキー」と大歓迎を受けますが、サンタさんからトナカイがネコニナッチャウ病にかかりネコになったので、このままではプレゼントの配達ができないと相談されます。イカナトの実を食べさせれば治るのですが、イカナトの木は高い吹雪の山のてっぺんにあって採りに行けないのです。二人は、サンタさんのために空飛ぶトナカイのソリで山に向かいますが、辺りは猛吹雪。優しい雪のトロルのおかげで、無事に木の実を持ち帰りました。おかげでネコはトナカイに戻り、クリスマスには、サラはかわいい妹のツグミちゃん。ピンキーは弟のブーブーというプレゼントが届き、大満足。作者のイラストが文章と一体になって、今回も楽しい作品になっている。どこへいってもふたりは「あの有名なサラとピンキー!」ということで大歓迎されるのだが、これはなんともうれしいのではないだろうか。小さな子どもたちは、自分を認めて欲しいし、自分の存在を誇りたい。(これは大人だって同じで、自分の存在を認めて欲しくて事件を起こしたり、社会的に問題があるSNS投稿したりする)。認められ、トラブルを解決してみんなに感謝される。ちょっと控えめなサラちゃんは、自己主張がうまくできないおとなしい子にとってはすてきなヒロインだろう。うまく、自分を誇れる人間として成長していきたいですね。