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わたしも水着をきてみたい

 

わたしも水着をきてみたい

わたしも水着をきてみたい

 

 ファドマはソマリアからスウェーデンに来たイスラム教の女の子だ。この国は、ソマリアとはいろんなことが違う。ファドマが身に着けているヒジャブというスカーフをつけてる子はいないし、プールの日には、男の子と女の子が水着で一緒にプールに入っている。プールは、とても気持ちよさそう。でも、男の子と一緒にあんなに素肌をさらして泳ぐなんて考えられない。お父さんやお母さんだって許してくれない! 一人で更衣室に戻ったら水着があった。思わず着てしまい、先生に見つかるがそれは、水着を忘れた子用のもので叱られなかった。先生は、家に手紙を書いてくれる。お母さんも一緒に、女性だけのプールに来ないか? という内容だった。とても行きたいけど、お母さんはお父さんに聞いてみると言っただけ。うれしいことに、女性だけのプールなら良いとお父さんも言ってくれた。初めてのプールをファドマは存分に楽しんだ、そして帰り道、お母さんも自分の夢を教えてくれる。それは自転車に乗ってみたいということだった。全く違う文化の中での戸惑い。それを「おかしい」と言って批判するのではなく、そうした人たちが受け入れ可能な条件を整えて案内するスウェーデンという国の姿勢をとても魅力的に感じた。