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3・11後を生きるきみたちへ―福島からのメッセージ

 

3・11後を生きるきみたちへ――福島からのメッセージ (岩波ジュニア新書)

3・11後を生きるきみたちへ――福島からのメッセージ (岩波ジュニア新書)

 

 著者は、2004年10月23日新潟県中越地震と、2011年3月11日東日本大震災原発事故の2度の被災を経験した。原発事故後まもなくから放射線量計を携帯し、身の回りの放射能汚染の「監視」を開始する。政府や東電による情報の隠蔽やウソ、専門化による「安全です」「問題ないレベルです」という説明、「大丈夫です。あわてないでください」と繰り返すばかりのテレビや新聞報道に対して、たたみかけるように論破していく。その勢いに始めは気持ちが引いてしまって読んでいたが、最終的に「自分の頭で考え、自分の命を守る」という主張、そして、問題大アリな日本、時代に生きていても悲観することなく「自分の人生を精一杯、幸福に生きたい」というメッセージにはとても納得がいって、中高生にぜひ届いてほしいと思った。そして、大人の自分は、与えられる情報をうのみにせず、自分で勉強して判断材料を持たなくてはと、大いに反省した。