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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

「空気」を読んでも従わない 生き苦しさからラクになる (岩波ジュニア新書)

 

どうしてこんなに、人の頼みを断るのが苦しいのか? どうしてこんなに周りの目が気になるのか? などふだん漠然と感じている息苦しさの理由を見直すことで楽になろう! と中・高校生によびかけている本。解きほぐすように「世間」は自分が知っている人、「社会」は知らない人。日本人は伝統的に「世間」を大事にする生き方をしてきた。それが今も残っている、だが現在はそれが変わってきているし、世界の中では特殊であることをまずはっきりさせている。そして「世間」には5つのルールがあること。(年上がえらい/「同じ時間を生きる」ことが大切/贈り物が大切/仲間外れをつくる/ミステリアス〈理由を示さず決まっているんだから決まっているという!?〉)といこうとを踏まえて戦い方を教えてくれる。例えば、先輩からいじめられたら、さらにその先輩に相談してみることなど。さらに、同調圧力(話の流れで、みんながなんとなくラーメンを食べたいという方向にいっていると違う意見を言いにくいなど)との戦い方で、あえて「ちょっと待って、絶対ラーメンって何人?」と切り込むと「絶対ってほどでも・・・」と一度ゆるむなど、実践的。常に戦うのではなく、一部は合わせても「これは戦略で合わせている、自分はほかでは好きなことをしよう」と逃げ場を考えるなど、玉砕を避けてそこそこやれそうな感じがとてもいい。今、目の前にあるものに振り回されて混乱しないように、一歩下がって敵を観察してうまく戦う! 中高生はぜひやってみてください。