児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

おどろいたりす

 

おどろいた りす

おどろいた りす

 

 動物写真家イーラとマーガレット・ワイズ・ブラウンによるモノクロ写真絵本。
ねこに飼われているりすが、ある日「ぼくはせかいをみにいくよ」と、ねこと2人の世界から出かけていく。インコやスカンク、うさぎ、ウシガエル・・・といろいろな動物に出会うたびに「まあ!きみはだあれ?」と尋ねながら進むが、さみしがりやのこいぬに会うと自分も寂しくなったのか「ぼくのねこをみかけなかった?」と聞き始める。無事にねこと再会できたりすは、一緒に飛び跳ねて喜ぶ。
最初のページでりすとねこが向かい合っている写真がお互いを探り合っているように見えたので、ねこに飼われて一緒に暮らしているという設定に驚いた。それに、世界を見に行く!と自分からねこの元を飛び出した割にはすぐに寂しくなってねこを探し始めるので「行って帰る」の折り返しが早すぎるし、その後のいろいろな動物との出会いの方が長いことにも違和感を感じた。何よりも、イーラが動物を飼って一緒に暮らしながら撮影したと解説にあるとおり、家の中でりすが”冒険”しても緊迫感がない。『ニひきのこぐま』(こぐま社)に遠く及ばず残念です。