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白い池 黒い池 イランのおはなし

 

白い池 黒い池―イランのおはなし

白い池 黒い池―イランのおはなし

 

 シラーズの母さんは、シラーズを生んですぐに死んでしまった。とうさんが結婚した新しいかあさんにはナルゲスという娘がいた。ところが、とうさんがしんでしまうと、シラーズは学校にも通えず、家の仕事を言いつけられ、一生懸命働く毎日となった。ある日、母さんの形見の毛糸で冬に備えてセーターを編もうとすると、毛糸玉が転がって、よその家に入ってしまった。あきらめきれずにいくと、きたないおばあさんが出てきて、言うとおりにすれば毛糸を返してやるという。まず、きたない台所に連れていき、ここをメチャメチャにしろと言われるが、シラーズは、きれいに片づけて料理もしてあげる。するとおばあさんは、何も言わずに庭に連れて行き、木を引っこ抜いて花を抜けというが、シラーズは、荒れた庭を手入れし、泉をふさいでいた石をどけて美しい庭にする。最後に、髪をバッサリ切れと言われるが、やさしくお風呂できれいに洗い、髪もよくとかして結い上げてあげた。すると白い池に3回、黒い池に3回入れと言われたので、その通りにして、毛糸玉を返してもらって喜んで帰った。ところが、家に帰ると、シラーズがあまりに美しくなっているので、お母さんは誰だかわからない。そしてわけをきくとナルゲスを美しくしようと考える。ナルゲスは毛糸玉をなげまくり、おばあさんの家に入ると、いわれるままに、台所と庭をメチャメチャニし、おばあさんの髪を切る。そして3度と言われたのに、何度も池に入った。ところが、家に帰るとすっかりみにくい娘になっていた。シラーズは、おばあさんの心の声をきいたのだと教える。 「ホレおばさん」のバリエーションだが、言われたこととは違うことをするという一ひねりがあるので、少し大きい子向け。表紙に金が使われていて目を引くのか、貸し出しもそこそこある。絵本の欠点として、「美しく変わる」「みにくくなる」を絵で表すのが、すこし微妙なのが残念。