オランダの漁村ショーラは、小学校に通う子どもが6人しかいない小さな村。ある日、そのうちただ一人の女の子リーナが書いた作文から、物語は始まります。
私は、幸運を運んでくるコウノトリのことを知りたい、となり村のようにコウノトリが巣をつくればもっとわかるのに。
先生は、なぜショーラにはコウノトリが来ないのだろう、と問いかけ、ほかの男の子たちも考え始めます。家の屋根がとがっているから巣を作れない、それに木もない。子どもたちは、屋根に荷車の輪をのせようと考え、ちょうどいい荷車の輪を探すことに。
それはやがて、村じゅうのおとなたちを巻きこんでいき、村を襲う嵐も乗り越え、とうとうひとつがいのコウノトリが、ショーラにやってくる。
荷車を探す過程で、子どもたちが交わる人びと。
かつてショーラにもコウノトリがいた頃を知っている三代目のシブルおばあさん。93歳のドゥワじいさんは80年間海底に沈んでいた車の輪をリーナと共に掘り出す。
なかでも、元漁師、ヤーヌスの活躍ぶり!サメに襲われて以来車いす生活のヤーヌスは、庭のサクランボをめぐって鳥と子どもたちと”対立”関係だったのに、コウノトリ作戦の頼れるリーダーに変貌します。
「わたしたちが、なぜだろうと考えはじめると、いろいろのことを、ほんとうに起こるようにさせることが、まま、できるものだよ」という、先生の最初の言葉が効いています。 挿絵はセンダック。 (は)