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テオの「ありがとう」ノート

 

テオの「ありがとう」ノート

テオの「ありがとう」ノート

 

 テオは体のマヒがあり、両足と左手が不自由で電動車いすに乗って施設で暮らしている。何をするにも施設の人の助けを借りなければいけないから、一日中「ありがとう」を言い続けている。ある日、ふとそんな毎日が嫌になった。だが、テオが「ありがとう」をいうのをやめると「感じが悪いよ」と注意され、なぜか運動をすることになってしまった。ところが運動を指導するパトリスは「着替えてこい」という。テオは自分で着替えられないのに。でも、悔しくてたまらなかったテオは、懸命に片手だけで着替えにチャレンジすると、なんとかできたじゃないか! 「ありがとう」というのを減らすため、テオは自分でできそうなことは自分でチャレンジし始めた。そして、意外と卓球がおもしろいのにもハマッテいった。だが、ちょっと自信がついた直後、一人で散歩にでかけ、車いすを降りたのはいいけど、自分ではどうしても乗れないという事実に気づく。自信と失望の中で、自分のできることをみつけ、小さい子の面倒を見て「ありがとう」と言われる立場にもなる。そして弟にとってお兄ちゃんとしてふるまいたい、特にお父さんに誇りに思ってほしいと願う。自分から積極的に生きたいという願いは切実。最後、自分と同じ思いに悩む年下の子の相談に乗るテオの成長に拍手です。