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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

転んでも、大丈夫 僕が義足を作る理由(2017 小学校高学年 課題図書)

 

転んでも、大丈夫: ぼくが義足を作る理由 (ポプラ社ノンフィクション)

転んでも、大丈夫: ぼくが義足を作る理由 (ポプラ社ノンフィクション)

 

「義足でかがやく」

 

義足でかがやく (世の中への扉)

義足でかがやく (世の中への扉)

 

 はこの著者をモデルにしたノンフィクションだったがこんどは本人が書いたもの。実際の義足の作り方のようすの図解。義足で活躍する人の写真、臼井さんに義足を作ってもらうことで活躍したアスリートたちの声もはさんで仕上げてある。だが、ちょっと気になったのは臼井氏の身を削るような努力。朝の7時半から夜の9時まで、オリンピック前は休みなしで働いて疲労による貧血で駅で倒れて、でも翌日も出勤したって、おかしくない? もっとつらい人のために頑張りたいはわかるけど、過労死するんじゃないの??? これを感想文でどうかくのだろう。私もこんなふうに頑張って人の役に立ちたいとかかくのだろうか? 本人自身が書いているせいか客観的な義足づくりにかかわってきた歩みより、自分の思いが前面に出てきていることがこうした「ぼくは絶対やる!」的なムードになっているのかもしれない。長く、自分のやりたいことも見つけられなかったのに、打ち込めるものを見つけ、懸命に仕事をしているというのは、感想文ネタとしては書きやすいのかもしれないし、懸命だが選手に押し付けない姿勢も素晴らしいものの、やっぱり個人的には滅私奉公的なことへの抵抗感がのこりました。