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くじらの歌

 

くじらの歌

くじらの歌

 

 9歳のミハエルは、両親とアメリカからイスラエルの祖父のもとに来た。一人でものを作るのが好きで、学校では友だちができなかったが、近所の年配者にかわいがられていた。急な引っ越しは、祖父の遺産に関連しているようだが、大人の事情はミハイルにはよくわからない。「公認の人」である家政婦と暮らしていた元骨董商の祖父は、すぐにミハエルと仲良くなった。ものを直すのが大好きな祖父を手伝ううちに、祖父はミハイルを夢の世界に連れていってくれるようになる。祖父と聞く古いレコード(その中にくじらの歌もある)、夢の中で飛ぶための現実の努力、祖父が二人いる謎、他の人の夢の修理屋としての仕事の引き継ぎなど、不思議な世界がありありとしたリアルさで語られ、作者自身の体験談として信じてしまいそうになるリアルさが魅力。