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アンデルセンー夢をさがしあてた詩人

 

アンデルセン―夢をさがしあてた詩人

アンデルセン―夢をさがしあてた詩人

 

自身も作家であるルーマ・ゴッデンによる伝記。アンデルセンにまつわる人物の肖像画が多数載せられている。
序章の、デンマークの風土や歴史、国民性の解説から「おとぎ話の語り手」アンデルセンの登場となる文章に引きこまれる。アンデルセンの成功の理由は、多くの人の助言や金銭的援助があり―作家や画家などに国から支給される年金もあった―そして何よりも、才能への自信があったからだ。俳優、戯曲作家としてや恋愛では挫折も多く味わったが、人生を通して出会った人々の言動や出来事、そのとき味わった気持ち、それらがすべて童話に反映され、周囲の評価に導かれて童話作家としての才能を自覚していったことがわかる。貧しく何者でもなかった頃の根拠なき自信が、やがて根拠あるものへと開花していく過程は、ある意味まっすぐに伸びた道だったようにも感じられた。