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ケルトの白馬

 

ケルトの白馬

ケルトの白馬

 

 ケルトの丘に今なお残る白馬の伝説として描かれている。イケニ族の族長の息子ルブリンは、兄弟の中で一人だけ先祖返りの先住民似の容貌を持ち、ものの形に心惹かれる情感の持ち主だ。ある日アトレバーティス族が攻めてきて、ルブリンの部族は破れた。唯一残った族長の息子として、ルブリンは敵のリーダークラドックとの交渉に辺り、妹の夫で傷を負った次期族長のダラを守ろうとする。自分の部族の自由の代償として大きな白馬を描くことを命じられた時、ルブリンは引き受け、その絵に命を与えるために神への犠牲として自らの命を犠牲にする決意を固める。
父親がルブリンの資質を見出す瞬間、ダラとルブリンの間に友情が芽生える瞬間を信じられないほど鮮やかに描くところに、サトクリフの底力を感じる。