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青い花のじゅうたん

 

青い花のじゅうたん―テキサス州のむかしばなし (児童図書館・絵本の部屋)

青い花のじゅうたん―テキサス州のむかしばなし (児童図書館・絵本の部屋)

 

 先住民族コマンチ族に伝わるテキサス州のむかしばなし。春になっても雨が降らず、このままでは飢きんがくると恐れた村人が祈ると、一番大切なものを燃やして、その灰を大地の四つの方がく、風が生まれるところにまくようお告げがある。みんなは感謝しながらも、自分が大切にしているものは違うだろうと語り合った。この村には飢饉で家族が死んだ〈ひとりでいる子)と呼ばれる女の子がいた。女の子は母親が縫ってくれ、父親が青い羽根をつけてくれた形見の戦士の人形を大切にしていたが、お告げを聞くとその大切な人形を捧げ、燃やして灰をまいた。すると灰をまいた場所に美しい青い花が咲き、雨が降った。みんなはその子を〈みんなをたいせつにする子〉と呼ぶようになり、今でもそこには青い花が咲く。素朴な昔話だが、デパオラの様式的な絵のタッチが内容にあっていて素直に楽しめる。