児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

ゴリラは語る 15歳の寺子屋

 

15歳の寺子屋 ゴリラは語る

15歳の寺子屋 ゴリラは語る

 

ゴリラの観察しながらゴリラの生活を学び、ゴリラの群れに「ホームスティ」のように受入れてもらって研究を行った体験を語るノン・フィクション。威嚇をするがむやみに人間を襲ったりはしない穏やかな性格。子どもを忍耐強く可愛がる雄。とくに興味深いのは、対立はするがけんかをしないゴリラの姿勢。にらみ合うと周りから仲裁が入るという。人間でも、意見が違うことはある。自分は違う意見だと表明して、その上で争わない知恵というのはとても大切ではないだろうか? 現実的なゴリラの保護と、アフリカの人たちの生活の向上のため、著者はゴリラのエコ・ツーリズムを推進しようとしている。いい形でこれが実現すればよいと思うが、先進国の人間が傲慢な好奇心や財力で節度のない行いをしそうでちょっと心配。