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エベレスト 命・祈り・挑戦

 

エベレスト 命・祈り・挑戦 (児童書)

エベレスト 命・祈り・挑戦 (児童書)

 

絵本のような大判で絵が多い構成ではあるが、文字や情報量が多いので対象は高学年くらいからだろう。中国出身という画家の絵はとても美しいが、文字の解説としてはわかりにくい部分もある。たとえばp55の「インターナル・フレーム・バックパック」の絵、バックパックなのはわかるが、何がどう特別なのか、私には理解できなかった。内容は「はじめに」「エベレストのふもと」「エベレスト 高山の世界」「エベレストにのぼる」「エベレストの山頂」と分かれていて、その成り立ちや自然、神話、登頂の歴史などが紹介されている。1953年の初登頂前に、あと200mまでに迫っていながら登頂できなかった隊、2度目の登頂は1965年という情報にその難しさをあらためて感じた。頂上が地球の対流圏上部に達し、ジェット気流が吹いているということも、恥ずかしながら初めて知った。だがその同じ地が、現在では毎年何百人も登る山になっているという事実は、技術やノウハウの蓄積ゆえと思いつつ、驚きをもって受け止めたい。