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「植物の宝島」への旅

 

 この本が発行当初は先駆的だったけれども、今あえてこれを読まなくてもよいかな、というのが正直な読後感想だった。屋久島の縄文杉について書かれているが、現在は島の山の上と下で植物相が違う特殊性や縄文杉、その保護についての類書が出ていたり、関連するドキュメントもある。屋久島で杉が伐採されたり保護されたりが行きつ戻りつした感じの歴史についても、なぜそうなったかがほとんど書いてなかったり、著者は2回屋久島に行っているのだが、その2回の比較が最後にもふいに繰り返されてちょっと混乱して前を見直してしまった。題材はユニークだが、この本の後に、特に自然保護についてはいろいろ変化もあったので役割を終えた本かもしれない。