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チョコレート・アンダーグラウンド

 

チョコレート・アンダーグラウンド

チョコレート・アンダーグラウンド

 

 まさかの事件がおきた! 選挙で健全健康党が勝利してチョコレート禁止法案が可決されたのだ。国民の健康を守るために甘いものは禁止。隠し持とうとしてもチョコレート探査機で摘発されてしまう。チョコレート大好きなハントリーとスマッショーはがっかりした、だが、簡単にあきらめられない。何とかしてチョコを手に入れたい。なじみのお菓子やバビおばさんの倉庫に残っていた古い在庫にカカオや砂糖を見つけ、古本屋ブレイスさんからチョコ製法の本を写させてもらい、試行錯誤の末についにチョコレート製作を成功させる。合言葉を決め、信頼できる友だちへの密売を開始。さらに古い防空壕を改造して地下チョコバーをつくった。だが、同級生のフランキーは健全健康党少年部(少年団)のリーダーで二人に目を光らせる。ついに合言葉ばばれてバビおばさんとスマッショーは逮捕されてしまった。偶然難を逃れたハントリーはブレイズさんと共に反撃のチャンスを狙う。一部の反撃ではダメだが、全員が立ち上がれば倒せるはず! チョコレート禁止法案というナンセンスともいえるけれども、ある意味ありそうなアイディア一本で、禁酒法時代を彷彿とさせるイメージを描き出し、それに少年たちが挑戦するところがなんとも楽しい。最後に「謝辞とあとがき」として、これがいかにも本当の事件を記したかのようなまとめをつけているところも笑える。仕掛けはわかるのに、それを気にせずに楽しめるエンターテイメントに仕上がっている。