児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

なんて素敵にジャパネスク

 

時は平安。名門貴族に生まれ、深窓の令嬢として育ったはずの瑠璃姫はとんでもないおてんば。貴族の娘のたしなみとしての琴も歌もダメだし、見てくれも平凡、元気だけが取り柄変わり者の姫として名を馳せている。幼いころに吉野であった男の子との初恋を胸に、気が付いたらもう16歳。父の大納言は、何とかして瑠璃に婿取りをと強引に進めようとしたのを救ってくれたのは一つ年下の幼馴染高彬。実は子どもの頃の約束を守って瑠璃姫と結婚をと思っていたのに、瑠璃姫がコロッと忘れていたのだった。でも、あらためて見直せば平安時代には珍しい一途な貴公子。かくて二人は結婚に! と思ったところで、高彬のおばあさまがらみの二の姫の縁談騒動やら、瑠璃姫の弟融が強盗に会うやら次々とトラブル発生。都を守る高彬に助太刀しようと動いた瑠璃姫は、融が片思いをした宮家の血筋藤宮がらみで、彼女の所で暗躍する鷹男という謎の男と連携し、潜入スパイの役をみごと果たしたのだが、そのために命を落としそうになった。ギリギリで鷹男が助けに来てくれたが、彼の正体はなんと東宮! ともかく平和になっていよいよ高彬と結婚と思ったのに、あろうことかすっかり瑠璃姫を気にいった東宮がちょっかいをだしてきた。どうなる瑠璃姫・・・。かつて読んだことがあって面白かったが、あらためて読んでも面白いしラノベの原点をバシッと決めている。平凡だけど元気な女の子がイケメンにもてもて、だけどやっぱり筆力があります。ところどころにちゃんと平安朝の短歌がはさまれたラブロマン。瑠璃姫と高彬の関係や、東宮が気に入る過程も説得力あり。実際にいまだに図書館でも借りだされているところがすごいです。