日本の「まん中」でない東北、経済発展の「まん中」でない農業や漁業、くり返し災害に見舞われる「ケガチ」の風土(ハレとケの”ケ”の意味)。百姓の子として育った「わたし」の中には、方言を恥ずかしいと思ってしまう心がある。
本来、米は温暖な土地の作物であり、自然災害と飢饉とのたたかいがくり返される苦労は果てしない。なのに都市に物があふれればあふれるほど一次産業は売れなくなり、都会人は土、海、食と自分の命をつなげて考えない。それが田んぼの隣りに原発をつくり、3.11の事故によって永遠に汚染とたたかうことになった。自然を汚染してしまった私たちは、自分の体を傷つけたのだ。
9年前読んだときとても後悔が残った。でも著者は、子どもたちへ向けて力強いメッセージを送っていた。本当に大切なのは、いのちそのものをつくるのは、農業と漁業だ。あきらめずに「少しずつ、種をまいていこう」。
大人もあきらめずに未来を想像しなければ。 (は)