児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

高校生以上

終点のあの子

終点のあの子 (文春文庫) 作者:柚木 麻子 文藝春秋 Amazon 2008年の著者のデビュー作。ミッションスクールの高等部に新しく入ってきた朱里は、有名カメラマンを父に持ち、自由奔放。まわりの空気を読まず、自然に振る舞い、美術の授業では明らかな才能をみせ…

住所、不定

住所,不定 (STAMP BOOKS) 作者:スーザン・ニールセン 岩波書店 Amazon フィーリックスは、まもなく13歳。ママのアストリッドと暮らしている。以前はおばあちゃんの家でみんな一緒に暮らしていた。だけどおばあちゃんは死んでしまった。そこからトラブルが…

世界のたね 真理を探究する科学の物語 下

世界のたね 真理を探求する科学の物語 下 (角川文庫) 作者:アイリック・ニュート,猪苗代英徳 KADOKAWA Amazon 下巻は、ダーウィン、マリー・キュリー、アインシュタインといった人たちの分野を中心に。宇宙という膨張し続ける巨大な空間・時間の世界と、ウイ…

世界のたね 真理を探求する科学の物語 上

世界のたね 真理を探求する科学の物語 上 (角川文庫) 作者:アイリック・ニュート,猪苗代英徳 KADOKAWA Amazon 自然科学の歴史を、人類誕生から現代につながる大きな「物語」としてつづる。上巻は、人類誕生から産業革命まで。アリストテレス、ガリレオ、ニュ…

戦争遺跡から学ぶ

戦争遺跡から学ぶ (岩波ジュニア新書) 岩波書店 Amazon およそ50か所の戦争遺跡について、26人の執筆者が分担して紹介。読み通すというより知りたい項目を資料集的に読む1冊。巻末の「すぐわかる戦争用語」や「近代日本の戦争史年表」は、基本的知識を得ら…

クジラの骨と僕らの未来(2022課題図書高校生)

*1" title="クジラの骨と僕らの未来 *2" /> クジラの骨と僕らの未来 *3 作者:中村玄 理論社 Amazon 動物が好きだった子ども時代。中学校の授業でウシやブタの内臓を観察させてくれる体験をさせてくれた女ドリトル先生と言われた菊池昌子先生と出会い、内臓や…

建築家になりたい君へ(2022課題図書高校生)

建築家になりたい君へ (14歳の世渡り術) 作者:隈研吾 河出書房新社 Amazon 新国立競技場を建設した隅研吾氏が、自分が建築家になった経緯を自伝的に書いた本。小学校4年で当時の国立競技場の建築を見て夢中になり、大学は建築学科に進むが、アフリカの建築…

その扉をたたく音(2022課題図書高校生)

その扉をたたく音 (集英社文芸単行本) 作者:瀬尾まいこ 集英社 Amazon 老人ホーム「そよかぜ荘」のボランティアでギターと歌を披露した宮路は、最後に施設の職員が一緒に演奏してくれたサックスの音に目をむく。渡部という名札をつけたさわやかな青年。どう…

14歳のための時間論

14歳のための時間論 作者:佐治晴夫 春秋社 Amazon ゆらぎ理論の研究者が、「時間」についての謎を、主に「心」の側面から説き明かす。日曜日から土曜日の1日1テーマで7章という設定。ゆったりとした文字組で、やさしく語りかけながら、とにかく幅広い話題…

同志少女よ敵を撃て

同志少女よ、敵を撃て 作者:逢坂 冬馬 早川書房 Amazon 本屋大賞も受賞し、読まれているのをうれしく感じる本。児童書として出たわけではないけれど、あきらかな成長物語で中高生に薦めたい。 農村で生れ、害獣駆除のために銃を習ったセラフィマ。だが、戦争…

これからの男の子たちへ

これからの男の子たちへ: 「男らしさ」から自由になるためのレッスン 作者:太田 啓子 大月書店 Amazon 著者は弁護士。性差別や性暴力を社会からなくすには、男の子の育て方こそ重要と、公私の体験(見聞きしたことも含む)に基づいてわかりやすく論を展開し…

しおかぜ荘の震災 車いすから見た3.11

しおかぜ荘の震災 作者:木村 航 双葉社 Amazon 藤島環は体が石化する難病にかかり徐々に体が動かなくなっていく、宮城の山の中の施設「しおかぜ荘」に入所しているが、地域で暮らしたいと思っている22歳の女子だ。そこに3.11が襲いかかる。高台にある施設…

「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考

「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考 作者:末永 幸歩 ダイヤモンド社 Amazon 「美術」は、小学生から中学生になって嫌いになる科目1位だそうだ。美術教師の著者は、描く・つくるの「技術」と芸術作品についての「知識」偏重型の教育が個々の…

雲を紡ぐ

雲を紡ぐ (文春e-book) 作者:伊吹 有喜 文藝春秋 Amazon 同級生からからかわれたことがきっかけで学校に行けなくなった美緒。教師の母、電機メーカーの父と三人暮らしだ。母は自分の母(美緒には祖母)と仲が良く。育児を助けてもらったこともあり、祖母はよ…

彼方の友へ

彼方の友へ (実業之日本社文庫) 作者:伊吹 有喜 実業之日本社 Amazon 父の行方がわからなくなり母と二人で暮らすハツに、叔父が見つけてくれたのは、あこがれてやまない雑誌『乙女の友』の雑用係の仕事。有賀主筆は、使い走りの少年が欲しかったのにと冷やや…

タスキメシ 箱根

タスキメシ 箱根 作者:澪, 額賀 小学館 Amazon 前作では高校生だった早馬は25歳。病院の管理栄養士を辞め紫峰大学の院で運動栄養学を学ぶために入学した。同時に、同大学の駅伝部のコーチアシスタント兼栄養指導をたのまれて引き受けることにした。監督の館…

ミシンの見る夢

ミシンの見る夢 作者:ビアンカ・ピッツォルノ 河出書房新社 Amazon 洋服は家で縫った時代、きちんとした裁縫師ではなく、裕福な家に、通いで出かけて仕事をするお針子の仕事をしていた祖母。家族をコレラでなくし、祖母に引き取られた主人公は7歳から針を持…

荷抜け

荷抜け 作者:岡崎 ひでたか 新日本出版社 Amazon 江戸時代末期、信州の貧しい村で、ぼっか(荷物運搬)をしていた父が足を滑らせて亡くなった。必死に仕事をした母もなくなり、大吉と妹のキヌは残される。キヌは奉公に出され、大吉はなんとか田畑を耕すが、…

分かれ道ノストラダムス

分かれ道ノストラダムス (双葉文庫) 作者:深緑 野分 双葉社 Amazon ネギことあさぎは高校1年。2年前密かに好きだった男の子基が心臓病で急死した思い出が心の奥でよどんでいる。3回忌に友だちと訪ねたときに、基のものだったというノートを預かった。そこ…

ミカンの味

ミカンの味 作者:チョ・ナムジュ 朝日新聞出版 Amazon 同じ中学で同じ映画部に入ったことから仲良くなった4人の少女。ダユンは成績が、とりわけ外国語が優秀だが、家では病弱な妹に親の関心が集中していて、自分のことはいつもあきらめるように暮らしている…

墓場の少年 ノーボディ・オーエンズの奇妙な生活

墓場の少年 ノーボディ・オーエンズの奇妙な生活 (角川文庫) 作者:ニール・ゲイマン 発売日: 2019/02/23 メディア: 文庫 カーネギー賞とニューベリー賞のダブル受賞ということで期待して読んだが、正直想定の範囲内という作品だった。日本では一般書として角…

大切な人は今もそこにいる

大切な人は今もそこにいる: ひびきあう賢治と東日本大震災 (世界をカエル 10代からの羅針盤) 作者:望, 千葉 理論社 Amazon 冒頭、「これは、私的なメメント・モリです。」(「死を忘れるな」の意)とあり、そうだなと思う内容でした。東京に暮らす著者の実家…

水を縫う(2021年課題図書 高等学校)

水を縫う (集英社文芸単行本) 作者:寺地はるな 集英社 Amazon 感想文が書きやすい要素がいっぱいある。刺繡が好きな高校生男子清澄、かわいいものが苦手なその姉の水青(みお)、市役所に勤め、なんでもきちんとやり子どもが失敗しないように守りたいと思う…

裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち

裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち (at叢書) 作者:上間陽子 太田出版 Amazon 彼氏や家族からDVを受け、居場所がない中でキャバ嬢や援助交際をしながら生き延びる沖縄の少女たちへのインタビュー。10代で、場合によっては中学生で妊娠や出産に追い込ま…

科学者になりたい君へ(2021年課題図書 高等学校)

科学者になりたい君へ (14歳の世渡り術) 作者:佐藤勝彦 発売日: 2020/10/22 メディア: 単行本 著者の研究者としての自伝的な内容。京都大で大学院を修了し、東大で名誉教授にまでなりさまざまな要職を歴任するという経歴なのだが、できすぎじゃないのとそれ…

まねが育むヒトの心

まねが育むヒトの心 (岩波ジュニア新書) 作者:明和 政子 発売日: 2012/11/21 メディア: 新書 ヒトらしい心の発達について、サルやチンパンジーとの比較による「進化」のものさしに加え、ヒトとしての特徴、らしさはいつの時点から、どのように、なぜ、といっ…

いのちと放射能

いのちと放射能 (ちくま文庫) 作者:柳澤 桂子 発売日: 2007/09/10 メディア: 文庫 生命科学の観点から放射能の恐ろしさを訴える本書。放射線の種類や単位を使った複雑な説明もあるが、わずかな放射線によって傷つけられたDNAが「未来永劫」遺伝し蓄積されて…

こども東北学

こども東北学 (よりみちパン!セ) 作者:山内 明美 発売日: 2011/11/17 メディア: 単行本(ソフトカバー) 日本の「まん中」でない東北、経済発展の「まん中」でない農業や漁業、くり返し災害に見舞われる「ケガチ」の風土(ハレとケの”ケ”の意味)。百姓の子…

ヒロシマ、ナガサキ、フクシマ:原子力を受け入れた日本

ヒロシマ、ナガサキ、フクシマ: 原子力を受け入れた日本 (ちくまプリマー新書) 作者:田口 ランディ 発売日: 2011/09/05 メディア: 新書 日本は「五回も被ばくをしている」。1945年広島、長崎への原爆投下、1954年第五福竜丸、1999年茨城県東海村での臨界事故…

人を見捨てない国、スウェーデン

人を見捨てない国、スウェーデン (岩波ジュニア新書) 作者:三瓶 恵子 発売日: 2013/02/21 メディア: 新書 「人を見捨てない」が成り立つポイントは「自立」。 子どもの時からの精神的自立―学校では個々に合わせた時間割を組み入試もない代わりに、なまけない…