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人形つかいマリオのお話

 

人形つかいマリオのお話 (児童書)

人形つかいマリオのお話 (児童書)

 

 人形つかいのマリオは、各地をまわりながら人形劇をしていましたが、お客が入らず苦労していました。ところが『王子さまと貧しい農家の娘』の演目が大当たり! マリオはその演目ばかり上演して金持ちになりますが、人形への扱いはぞんざいになっていきました。ある夜、人形たちは、マリオはすっかり変わってしまった。昔みたいにもっと他の役がやりたい! と大騒ぎ。最後まで王さま役の人形だけは抵抗しますが、他の人形はあやつりひもを切って、勝手に動き始めます。帰ってきたマリオは最初は怒ったりびっくりしたりしますが、人形たちと話し、もう一度昔のようにみんなで一緒に人形劇をやろうと改心するという話。もともと劇場の舞台用に書いたというが、確かに、これは舞台で見たらとても映えると思う。劇中劇のように、まず『王子さまと貧しい農家の娘』の物語を演じ、反転して人形のパート、最後に新しい物語を華やかに演じる舞台が浮かんでくる。とはいえ劇のメリハリのために物語がわかりやすくなりすぎているように感じてしまった。やはり舞台で見てみたい。