生命科学の観点から放射能の恐ろしさを訴える本書。放射線の種類や単位を使った複雑な説明もあるが、わずかな放射線によって傷つけられたDNAが「未来永劫」遺伝し蓄積されていくことが何よりも恐ろしい、という「いのち」への影響に的をしぼった主張はとてもわかりやすい。人の命や環境よりも便利さや経済が優先されている。「国家が、会社の幹部が、学者が、いかに頼りないか」・・・本書は初め、チェルノブイリ原発事故を機に書かれましたが、3.11の原発事故やコロナ禍の今もまさにそのとおりです。だからこそ「ひとりひとりが自覚して行動する勇気をもとう」。考え行動するための1本の軸をもらって、何度でも気づいた時から始めなければ。
一般書ですが中高生にもぜひ。理科、社会、保健体育、国語(高村光太郎など詩や散文が出てきます)、さまざまな機会に紹介してほしい。 (は)