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詩人になりたいわたしX

 

 2019年カーネギー賞、2018年全米図書賞等受賞作。ドミニカ出身の両親を持ち、ハーレムで暮らすシオラマは高校に入ったばかり。シオラマとは「いつでも戦える人」という意味だ。名前の通り気が強く、やさしい双子の兄ツインことエグゼィアがいじめられると戦ったのはシオラマだ。自分で臨んだわけじゃないのにDカップのダイナマイトボディに育ってしまい、男性からいやらしい目でみられるのがイヤでたまらない。信仰深いマミは警戒して、教会に通い、男の子と付き合うなとうるさい。でも、最近神様は信じられないし、生物で隣の席になったアマーンに磁石みたいに引き付けられてしまう。男の子に触れてみたくてたまらない。詩のガリアーノ先生のクラスにも魅了され、詩のクラブにも誘われるが、教会の堅信礼のクラスと重なっていて行けない。ツインにもらったノートに抑えきれない思いを詩にしてひたすら書き付けている。マミの目をかいくぐり、アマーンと公園デート、堅信礼クラスをさぼって詩のクラブへ。だがついにマミに知られてしまった。激怒したマミは、詩のノートに火をつける。気性の激しいシオラマとマミは、ある意味似た者同士。思春期の嵐の中で自立したい思いと、どこかで守られてもいたい思い。そして何よりも自分を認めてもらいたいシオラマ。読んでいて連想したのは『ビリージョーの大地』あれも過酷な話しでした! 長編詩の形で描かれているこうした作品。日本にはあまりないけどおもしろいですね。