児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

大切な人は今もそこにいる

 

冒頭、「これは、私的なメメント・モリです。」(「死を忘れるな」の意)とあり、そうだなと思う内容でした。
東京に暮らす著者の実家は、岩手県陸前高田の寺院。死を自然の摂理と考えてきたが、東日本大震災を機に、突然失われる命の不条理と向き合うようになる。被災した姪っ子の話や、津波で兄夫婦を亡くしその幼い遺児たちを育てている知人の語る言葉。自分にはとても分かち合えない悲しみや辛さに重く深く打ちのめられそうになったとき、宮澤賢治の「銀河鉄道の夜」や「永訣の朝」「オホーツク挽歌」に救われ支えられた心情をつづる。シリーズ名に「10代からの」とありますが、一般向けです。 (は)