トイレがなかったら、という導入で災害時のトイレのことを扱っているが、災害時のトイレ解説は５章。全体に内容が行ったり来たりする感じを受けた。たとえばp103で携帯トイレの写真があるが、具体的な使い方はp114。なぜ続けて説明しない？p59のイラストも。道路の脇に汚物や雨水を流す溝があったと他の本では書かれていたのが書かれていない。またp60のロンドンの井戸からコレラが広がったというのは有名なブロード街の疫学調査のことだと思うが、原因はテムズ川の水ではなく、近くの汚水溜めの水が井戸を汚染していたことのはず。江戸の清潔さを評価しているが、それでも江戸にコレラが流行した事実を考えると、その清潔さも限界があったと言わざるをえないのだろう。全体的に雑な印象を受ける。なお、災害時のために携帯トイレを備えるのはもちろん重要だが、携帯トイレが足りなくなったときはゴミ袋にちぎった新聞紙を入れて代用すると良いと、3.11の時に教えてもらった。グッズがない時の対応法も加えて欲しいと思った。
