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江戸のジャーナリスト葛飾北斎(2022課題図書中学生)

 

個人的には、こういう本は苦手。説明文を読んでいるようで味気なく、正直、読み進める意欲がわかなかった。ただし、説明文が好きな人なら、癖がないから読みやすいと思うのかもしれない。とはいえこの本の欠点は画家の本なのに図版がないことだと思う。北斎の絵は有名なので、文章だけで「ああ、あの絵か」と頭に浮かぶ人も多いかとは思うが、中学生だったら「北斎漫画」と言われてもピンとこない子もいるだろう。自分で画集をみたりPCで絵を探したりして読んだ方が良い。また表紙絵も、北斎鳳凰の模写(?)と思うが、せっかくならせめて表紙の絵位本物の絵を使えなかったのだろうか? 北斎鳳凰は、眼力があって大好きなので、この絵が北斎だと思われたらガッカリする。内容は、北斎の伝記っぽいものだが、著者は北斎の研究者ではない。引用・参考文献は35点(雑誌や新聞の記事まで含む)。これらの参考文献に基づいて、北斎についてまとめた感じなので、これで感想文を書くとしたら、自分でプラスアルファを調べて、踏み込んで書けばそれなりにまとめられるかもしれない。北斎が海外で知られるようになった経緯にもかなりページがさかれているので、「北斎を伝えたジャーナリズム」として書くアプローチもあるのかもでした。