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バルトーク

 

バルトークの人生は、自身の病弱な体と、2つの世界大戦に翻弄されたものでした。
作曲家、ピアニストでもありますが、最大の功績は民族音楽学者。各地の民謡を9000曲以上収集、採譜し、そのルーツを探りました。まるで昔話を集めるように。それらは、放っておけば消えてしまった口承文化。

ふるさとハンガリーは、遊牧の民マジャール文化がルーツで、その珍しい東洋的な五音音階をアフリカにも発見しました。民謡研究という”低級な”仕事に生涯をかけ、オーストリアナチス・ドイツによる支配といった祖国の分断に抵抗した人生は、多くの困難があったことがわかります。

コダーイとの出会いが、人生を決める要でした。コダーイの言う「歌のなる木」とは、女性のことだ、本当の民謡を歌い継いできたのは女たちだった、とバルトークが気づく場面が印象的です。
1989年リブリオ出版のシリーズを増補改訂。随所にQRコードが表示され、楽曲の冒頭を視聴することができます。 (は)