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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

りんごのき

 

マルチンは、いちめん雪におおわれた庭に棒が立っているのを見つけました。おかあさんが「りんごのきなのよ」と教えてくれました。よく見ると、木の幹に傷が。うさぎがかじらないように、おとうさんが金網をまきつけました。

やがて春。りんごの花にみつばちがたくさん集まって、おいしいりんごがなるようにお手伝い。夏。かっかと照りつけるお日さまに、りんごの木は元気がありません。マルチンがじょうろで水をやると、りんごの木はうれしそう。強い風や雷のあらしをのりこえ、ようやく秋。葉は黄色に染まって、りんごの実もまっ赤になりました。待ちに待ってりんごを手にしたマルチンは、うたって大喜びなのでした。

窓枠のように囲われた挿絵は、マルチンと一緒にりんごの成長を見守っている気分。小ぶりのサイズが愛しさを増します。文庫では4歳の女の子が気に入って、2か月間「くり返し読まされました」とお母さんの弁でした。 (は)