児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

翻訳ってなんだろう?

 

翻訳とは、原作をとことん読んで理解する読書でもある、という著者の言葉に納得。正確に訳すのは当然だが、そこで描写されている視点、主人公の気持ちで言葉が変わってくるというのになるほど、と思った。例えば赤毛のアンでは、背伸びしたい主人公が難しい言葉をしたり顔で使って見せるところでは、当然難しい言葉で訳す。かつての里親の粗暴な行動も、アンがそれを隠したいと思って語る場面では、あえて深刻そうに訳さないなど、なるほど~と思った。実際に英語の例文も載っているので、英語が好きな方はそれを訳してみるのも良いと思う。私は、それをスルーして読んだが、それでも十分楽しめた。翻訳論であると同時に、読書論になっていておもしろい。