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マッティのうそとほんとの物語

 

大人は嘘をつく! マッティはパパがフィンランド人でママがドイツ人。生まれた時からドイツに住んでいる弟のサミは幼稚園生だ。パパはバスの運転手でママは病院助手。頑張って働いているけれど、狭い家でお金に余裕はない。ことの起こりは公園の池にイルカが住むことになったという記事が新聞に出たことだ。サミとマッティは、大喜びで見に行ったのに、実はエープリールフールの嘘だった。マッティたちが大好きな動物番組を見ていて、動物のために寄付をしたいというと、もうしてるから大丈夫と言ってくれたママの言葉も、後から嘘だとわかった。パパのお兄さんでおじさんのユッシが来た時、パパは携帯ゲームの開発が認められてスイスに移住して高給がもらえるようになったといった。マッティは、さっそく学校で友人や先生に言いまくったのに、それもパパがおじさんに見栄を張った嘘だった! 大人は嘘つき。だからマッティも小さな嘘をついた。フィンランドの別荘管理人募集のパンフと、ママが応募した、家が当たる宝くじのパンフをくっつけたカラー・コピーで、家が当たったと思わせたのだ。そうすれば夏休みにフィンランドに遊びに行ける。向こうに行ったら、本当のことを言えばいい。ところが、信じた両親は、あっという間に仕事を辞め、家具を処分してアパートを解約してしまった! マッティは今更本当のことが言えない。そしてフィンランドに到着。すぐさま、なにもかもバレてしまった。絶体絶命、どうするマッティ? 子どもにいろいろ言いながら、大人はよく嘘をつく。これを読んだ子は、すごく共感するけど、あまりの展開にどうなるかとドキドキすると思う。でも、実は大人もけっこうしょうがないっていう児童文学もいいよね。