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きつねの橋

 

平安時代相模国(神奈川)から京までやってきた貞道は15歳、源頼光さまの家にお仕えをはじめたが、まだまだ下っ端だ。だが、橋の上に現れるというきつねの話をきき、屋敷の仲間にそそのかされて、一度は失敗するが、2度めはとらえることに成功する。とはいえ、それは橋をわたりたいという狐の願いをかなえることでもあり、キツネが探していている屋敷を教えてもやった。これが狐の葉月との縁の始まりとなる。葉月は、加茂神社で斎宮を勤める幼い姫を主として慕っていたのだが。キツネを排除しようという僧侶によって橋が渡れないように術がかけられていたのだ。貞道は、同じ屋敷で働く同年代の平季武(すえたけ)は、ひょうひょうとしているが弓の名手。そして季武の友人で藤原兼家の家で五の君(後の道長)に使える公友(きみとも)らと交流を重ねるが、一方で強盗袴垂(はかまだれ)の部下を下したことから、袴垂に目をつけられる。袴垂との攻防と、幼き姫を病気の母に合わせようとする葉月の思いで物語が展開していく。読みやすいし、佐竹美保さんの挿絵もいい。ただ、一番問題なのは、葉月が狐である必然性かも。葉月の登場が半減自在で、それが狐ゆえ、と言えそうだが彼女の行動自体は狐っぽいかなぁ? であるところが物足りなかった。