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きつねの橋 巻の二 うたう鬼

 

前作の最後で、葉月はまたもや橋を渡ることができなくなっていしまった。一方、貞道は季武や君ともと元気にやっている。ところが、新たに渡辺綱という若者が頼光の家の郎党に加わった。季武は、綱との弓勝負で破れ、意気消沈している。使いに出た折、血のように赤い紅葉の傍らで、貞道は鬼に取引を持ち掛けられる。自分を連れて行ってくれれば、どんな望みでもかなえてくれるという。貞道は断るが、季武は受け入れたらしく、直後より綱を圧倒する弓の力をみせた。袴垂は、相変わらず京の人を恐怖に陥れている。「鬼の腕」の逸話をもとに、鬼が求めていたものは何だったのか? という謎もからめて物語は進む。新たに桜の姫が登場。五の君と仲良しになる彼女は倫子、のちの妻だ。歴史の知識を知っているとさらに楽しめる。でも、鬼が求めたものがささやかなところなど、煽った割にはかな? とも思った。歴史が好きなファンタジー好きにおすすめ。