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ロンドン・アイの謎

 

12歳のテッドは、他の子とはちょっと違うと言われている。自分では、どうちがうのかうまくわからない。たとえば嘘がつけないし、他の人の気持ちを理解するのも難しい。だから友だちもいない。家族はテッドを大切に思ってくれているし、姉さんのカトリーナことカットも、わかってくれている。でも、ママやパパ、カットとも時々話が通じないことがある。一家の所に母の姉とその息子でいとこのサリムがやってきた。2日後にニューヨークに向かう飛行機に乗るために地方からきたのだ。サリムのママはこれからアメリカで働くのだ。ロンドンとの別れをおしむためにロンドン・アイに乗りたいといったサリムは、偶然もらったチケットで観覧車に乗る。テッドとカットは下で待っていた。だが、間違いなく乗ったサリムは降りてこなかった。どこへ消えたのか? ニューヨークを嫌がっていたから家出? そうだとしても究極の密室から消えた謎はとけない。しかし、ふつうの人とは違うこだわりを持つテッドは、彼ならでの推理を使い、真相にたどり着いたかに見えるが、さらに思いがけないどんでん返しがまっている。正直、前半だけなら、そこそこだけど、さらに深まる謎で、ミステリーとしての完成度が上がっていて楽しめる。ミステリー好き中学生におすすめ