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山いっぱいのきんか

 

昔むかし、月の輝くある晩に、ランフーという若者が、山へ草かりに行きました。

ふいに足元が光ったので見てみると、それはなんと、山奥までつづく金貨の道。そこへ銀髪のおばあさんが現れて、8月の十五夜さまの今夜、山の神が月の光に金貨をさらしているところに出合えたおまえはとても運がいいと言って、金貨を3枚くれました。

ランフーは大喜び。さらに欲を出して背負いかごいっぱいに金貨を詰めて帰りかけますが、大きなかつぎかごなら十倍は持って帰れると思いつき、金貨のかごを小川に投げ捨て急いでうちへ帰りました。

かつぎかごを肩に、おかみさんとじいさまばあさま、息子に娘、ぶた、犬、こやぎ、ひよこと、家じゅうの者を引き連れて山へ向かいます。ところが、もうひと足で金貨の道というその時です。まるい月が山の向こうにぽんと落ち、金貨はいっぺんに消えてしまったのです。

最初の3枚で満足していれば・・・となげく人間たちに、動物たちは言いました。金貨はともかく、背負いかごだけでも捨てなきゃよかったのにね・・・! (は)