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博物館の少女 騒がしい幽霊

 

冒頭、おどろおどろしい霊を呼ぶ儀式で幕開け、と思ったらその事件はすぐに解決! というところから本格的に物語が始まる。この事件の解決を知って依頼をしてきたのは大山巌と捨松夫人。博物館を見学に来た折に案内を手伝った縁もあり、イカルは捨松のもとに、前妻の忘れ形見の小さな娘たちの勉強のお手伝いの名目で家に入る。次々に起こる説明のつかない怪異、実はなかなかやんちゃな女の子たち、前の松山藩時代から仕えているという女中清。だが、怪異だけでなく、清が襲われて殺され、大山家には泥棒が入る! トノサマこと所長に言われて、陰で警護してくれていたアキラは、賊と争って撃たれるが、イカルが貸した懐炉のおかげで軽傷ですんだ。そうした中、イカルはアキラの父が隠密の仕事をしていて、アキラも小さいころからそうした手伝いをさせられていた過去を知る。美術展出品をめざして励むトヨの父、河鍋暁斎とついに対面! 物語は広がっていくが、最後にはきちんと(プロローグのような物語まで)回収して着地。怪異の種明しもされるが、怪異を怪異として扱いながら、それがナンデモアリではなく、きちんとルールを示しているところが見事。1作目より面白いかもと、楽しませてもらいました。