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チョコレートのおみやげ

 

小5のわたしは、お母さんの妹のみこおばさんと神戸の異人館を歩いた帰り、港の公園でひと休み。甘いチョコレートを口の中でとかしながら、おばさんの語るお話に耳を傾ける。

それは、坂道の洋館にニワトリと暮らす風船売りの男の話。ニワトリが教えてくれる風予報のおかげで、風船はよく売れ、ふたりは幸せに暮らしていた。

ところがある朝、ニワトリはいたずら心でうその予報を言う。その日、男はいくら待っても帰ってこない。強い風にあおられて、風船ごと見知らぬ街へ飛ばされてしまったのだ。3か月たって、男が懐かしい我が家へ戻ってくると、ニワトリは、屋根の上の風見鶏になってしまっていた・・・。

ニワトリが風見鶏になってしまうなんてあんまりだ、と思ったわたしは、その先を考えて語る。男がおみやげに持ち帰ったチョコレートを風見鶏に食べさせて、ニワトリが生き返るという結末を。

愛蔵版県別ふるさと童話館「兵庫の童話」(リブリオ出版、1999年)収録作品を単行本化とのこと。短編集のなかの1つなら、という話。 (は)