児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

レーエンデ国物語

 

聖イジョルニ帝国の中でレーエンデ地方には銀呪病という病がある。全身が銀の鱗に覆われて死に至る。満月の夜に現れて銀の呪いをふりまく幻の海が、その原因だった。シュライヴァの王弟で戦争の英雄ヘクトルは、レーエンデ地方に心惹かれ、ここに道を通すことで、通商をはかり銀呪病の治療方法を解明できる学問の発展を掲げて太古の森にルートを探す。娘ユリアを伴ってきたが、ユリアは王である叔父が定めた父より年上の男の三番目の妻になることから逃げてきたのだ。レーエンデでは、元傭兵でヘクトルに恩義を感じていたトリスタンが案内役を勤め、トリスタンとユリアの間には次第に気持ちが通っていくが、トリスタンには秘密があった。そしてさまざまな国の思惑がからみあう中で、悪魔の子とも聖なる御子とも言われるこどもが誕生して歴史が動いていく。イメージはなかなか壮大だが、文体はラノベ風。でも、読んでいて幻の海のイメージは上橋菜穂子氏の守り人シリーズを連想した。世界観もちょっと詰めが甘い感じはするが、読ませる勢いがある。どう展開していくか?