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スラムに水は流れない

 

インド出身で大学院でアメリカに渡り、現在アメリカ在住の作者による作品。ムンバイのスラムに住むミンニは12歳。毎日朝2時間、夕方1時間しか水が出ない共同水槽から水を汲むのが重要な仕事だ。15歳の兄はシェフになるのが夢でレストランで働いている。ミンニは奨学金をもらって私立学校に進めたが、成績を落とすわけにはいかないので頑張っている。だが、水マフィアが水を盗んでいるところを偶然目撃してしまったために、兄は田舎に逃げなければならなくなり、母も体調を崩し祖母の家に療養に行くことになった。兄がやっていた分の水汲み、母が仕事を失わないための大きなマンションでの下働きの仕事がミンニの肩にかかってくる。時に学校に行けなくなるミンニ。同じ年で働いている子も多いが、ミンニは進学の夢をあきらめたくはない。スラムだからこその周りから差し伸べられる手、希望の見える終わり方に救われる。