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ヒットラーの娘

 

ヒットラーのむすめ (鈴木出版の海外児童文学―この地球を生きる子どもたち)

ヒットラーのむすめ (鈴木出版の海外児童文学―この地球を生きる子どもたち)

 

 おはなしの上手なアンナは、スクールバスを待つ停車場でいつもお話しゲームをしてくれる。でも、今度の話はいつもと違った「ヒットラーには娘がいた」というのだ。お父さんが何をしてるかなんて知らない、顔にアザがある隠れて住んでいた娘が。お父さんが極悪人だとしたら子どもはどうすればいいのだろう? 細かに語られる話を聞いているうちに、マークの頭には様々な事が浮かぶ。人はなぜヒットラーを支持してしまったのか? その子どもにはどんな責任があるのか? でも、答えを誰かに教えてもらうことはできない。悩むマークの姿が素直に描かれていて好感が持てる。正解のない"問い″があることを教えてくれる。