児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

ティーンズ・ボディーブック・新装改訂版

 

ティーンズ ボディーブック - 新装改訂版

ティーンズ ボディーブック - 新装改訂版

 

 思春期の女の子が抱える体や心の悩みに、産婦人科医として思春期外来を行う豊富な経験から、さまざまな事例を示し丁寧に解説していく。診察室で話しかけるような、フランクであたたかい文章だが、、女性の体・心が背負うことの大きい性の問題をきっぱりと警告し(特に避妊、妊娠、中絶、性感染症に多くのページを割く)、よく知ってよく考えて行動すること、悔いのない幸せな人生のために、という強い願いが伝わってくる。鎌倉書房、扶桑社と版元を替え、2度目の復刊。

みんなこうなるの?おとなになるためのベストアンサー71のQ&A

 

みんなこうなるの? おとなになるためのベストアンサー 71のQ&A

みんなこうなるの? おとなになるためのベストアンサー 71のQ&A

  • 作者: アンチェ・ヘルムス,ヤン.フォン・ホレーベン,北村邦夫,畑澤裕子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/10/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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 ドイツ版の邦訳で、思春期の子どもが抱く”性”への疑問に答える本の中でも、おしゃれでポップなつくり。思春期年代の男女をモデルにたくさん登場させた写真は、表紙にあるようにイメージ的なものもあり、女の子の胸に花が咲いていたり、男の子のあごにひげのように草がついていたり。これなら、友だちと男女まじって読んでも楽しく読めそう。
日本の事情や法律に合わせた変更、日本の読者向けにコラムや巻末情報を新たに追加してある。

人生の答えは家庭科に聞け!

 

人生の答えは家庭科に聞け! (岩波ジュニア新書)

人生の答えは家庭科に聞け! (岩波ジュニア新書)

 

 著者は、家庭科教員を養成する大学教授と、大阪府立高校で初の男性家庭科教員。2014年度から放送されたNHK高校講座「家庭総合」の「おなやみ相談」コーナーが元になっている。
「自分を知る」「衣食のジレンマ」「生活することが社会を変える」「人生をデザインする」などの7章で構成。各章のテーマにまつわる高校生の悩みを漫画で提起し、その問題を解説するコメントが見開き2ページ、章末のコラム4、5ページでテーマをまとめる。1つひとつがコンパクトにまとまっており、読みやすい。悩みながら生きればいいんだよ、人生の悩みに向き合い自分なりの答えを見つけるために、必要な知識やスキルの「種」を家庭科で蓄えておこう、それが「家庭科」がくれる答えなんだ、と高校生にエールを贈る。
巻末に、各テーマを深く掘り下げるためにおすすめの書籍・漫画・映画リストがあり、興味をとても刺激される。こういう案内は、図書館司書の仕事だろうなあと思います。

「働く」の教科書ー15人の先輩とやりたい仕事を見つけよう!―

 

「働く」の教科書 ―15人の先輩とやりたい仕事を見つけよう! ―

「働く」の教科書 ―15人の先輩とやりたい仕事を見つけよう! ―

 

タイトルからはわからないが、特別支援学校を卒業した人たちが様々な職場で働く様子や、本人と上司へのインタビュー、そして読者に自分の場合や労働観などを考えさせる質問で構成される。質問は、あなたが「やりがい」を感じることは?どんなサポートがあれば苦手なことにチャレンジできそうか?悩みを相談する相手はいるか?など。
すべての漢字にふりがなが振られ、障害のある生徒に読みやすいよう配慮がされているが、障害にかかわらず、すべての中高生が「働く」ことについて考えることができる内容、つくりとなっている。「働く」とは、自分を知ること、自分の身の丈の範囲で、能力や得意なことを生かして働けばいいのだということがわかり、働きたい!という気持ちにさせてくれる。
いくつかの職場を経験し十分「働く」を経験している私も、もっと真摯に仕事や働くことに向き合わなければと、背筋の伸びる思いがした。 

ひかり生まれるところ

 

ひかり生まれるところ (創作児童読物)

ひかり生まれるところ (創作児童読物)

 

 三雲神社で女性神職の権禰宜をしているという大卒5年目の奥山希美が主人公。ちょっと変わったお仕事紹介的な面もある。長女として生まれ、まじめな母親にきっちり育てられ優等生として成長した過去の姿と、現在の仕事のようすが交互に描かれ、徐々に希美が過去にトラブルをかかえていたことが明らかになる。神社のお仕事実態はよくわからないのだが、6人が奉職しているというのはかなり大神社だろう。よく神社に来るネパールからの留学生ネルーさんなどお茶目なキャラや、個性的な二人の後輩巫女、嫌味な上司の禰宜と彼がライバル視するもう一人の穏やかなイケ面禰宜、さらに神社を率いる70代になる穏やかな神官の個性も良く描かれているし、過去のまじめに小学校・中学校と進みながらふとイジメに手を貸す行為をしてしまうまでの様子もよく描かれているとは思うのだが、同時に希美が神社に出会って再生するのが秋なのだが、再生してこの後3月まで中学校に戻ったんだろうか? と気になった。高校は単位制高校に進んだとその前に描かれていたが、秋から次の春までどうしたんだろう? その前に中学の同級生に会うシーンがあるが、一年も(ひょっとしたらそれ以上)登校拒否してた同級生にあったんなら、その同級生も全くこだわりなく同窓会参加を勧めるかな? と思った。全体的に面白いのだが、主人公の描かれていない時間の姿ももう少し見えるとうれしい。

ヘンリーくんと秘密クラブ

 

ヘンリーくんと秘密クラブ 改訂新版

ヘンリーくんと秘密クラブ 改訂新版

 

 ヘンリーくんが、友だちのロバートとマーフと一緒に秘密の小屋をつくるのがタイトルだが、ラモーナが相変わらずヘンリーくんを振り回す中で、ラモーナのおかげもあって新聞のお客さんから投書でほめてもらい、地区支配人のキャパーさんやおとうさんに「鼻が高い」と認められるところが、印象的。雪の日の配達で新聞がぬれないように1軒1軒手渡しで配達したこと(普段は前庭に投げ入れる、それがかっこいいと思って配達を始めた)が感謝される。シリーズ第6巻目で、特に笑いと感動の1冊。

ヘンリーくんと新聞配達

 

ヘンリーくんと新聞配達 改訂新版

ヘンリーくんと新聞配達 改訂新版

 

 ゆかいなヘンリーくんシリーズ第5巻。ヘンリーくんが11歳になり念願の新聞配達員になるまでを描く。
新聞配達をする上級生のスクーターに憧れるヘンリーくんは、新聞折りや配達をたまに代わってやって、地区支配人のキャパーさんにアピールするも、なかなか認めてもらえない。学校の古新聞回収で賞金をもらうために手作りの広告をまき、大量に出された古新聞を両親や友人総出で集めて回るてんやわんやがおもしろく、周囲の温かさも感じる。近くに越してきたモノづくりの天才マーフがラモーナに手こずり、ラモーナの扱いにかけては自信を持つヘンリーくんが、最後はその”人間力”で配達員の座を手に入れる。