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鉄道きょうだい

 

鉄道きょうだい

鉄道きょうだい

 

 

優しい両親と、恵まれた暮らしを送っていた3人の兄弟。だが、ある日、突然お父さんは見知らぬ人に連れ去られ、お母さんと田舎に引っ越すことになった。何もない田舎で、兄弟は駅の人たちと友達になり、列車に親しむ。快活にふるまうが、明らかにお金の心配にさいなまれているようすがわかるお母さん。唯一の男の子2番目のピーターは、駅の石炭置き場から、石炭を”掘り出し”てこずにはいられない。お父さんに起こった恐ろしいことを薄々感づき、お母さんを支える長女のロビーと、いつもとんちんかんな末の妹フェリス。9時15分のおじいさんとの友情。貧しいがプライドが高い駅や村の人々など脇役の個性豊か。子どもたちも、時にはけんかをし、屈折もありながら日を送る。イギリスでは、とても人気で舞台化もされているというが、かつて『若草の祈り』

 

若草の祈り (角川文庫)

若草の祈り (角川文庫)

 

として翻訳されていたものの、訳文がイマイチだったので、中村妙子さんの訳が出て、とてもうれしい。

冤罪のお父さんが無事に帰るハッピーエンドは、とても満足がいく。