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とむらう女

 

とむらう女 (オールタイム・ベストYA)

とむらう女 (オールタイム・ベストYA)

 

 ママが死んでしまい、パパのおねえさんがやってきた。フローおばさんは、おとむらい師だという。死と結び付いたその仕事も、ママの死も納得できないイーヴィは、おばさんを激しく拒絶する。それは、一緒の馬車に乗っただけで吐いてしまうほどの激しさだった。5歳の妹メイが、すぐおばさんになついたのも、パパがほっとしたようすになったのさえも許せないイーヴィ。だが、おばさんの仕事についていく機会を得て、それが死んだ人の姿を整えて、遺族の悲しみを和らげる仕事だと理解したとき、わだかまりは消え、ママの死後、初めての涙を流す。母親の死という現実を受け入れられないつらさと、その受容の中で、おばさんが不在の時に、かわりに「とむらい師」としての仕事を成し遂げるまでになる。陰険にふるまうイーヴィを辛抱強く支えるフローおばさん、立派です。