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竜の王女シマー

 

竜の王女シマー (ハリネズミの本箱)

竜の王女シマー (ハリネズミの本箱)

 

 作者は、「ぼくは黄金の国へ渡った」でニューベリーを受賞した中国系アメリカ人

 故郷の海を滅ぼした魔女を追う、竜の王女シマーは、人間の老婆の姿で、村を彷徨う。だが、やっと魔女シベットを見つけた時、初めて暖かい言葉を掛けてくれた男の子ソーンに気を取られ、逃がしてしまう。孤児のソーンは、シマーの道連れなり、魔女を追う二人の旅は始まる。竜族としての誇りから、ソーンにも距離をおこうとするシマーだが、次第に互いの理解は深まっていった。強い魔力を持つサル(明らかに孫悟空)からもらった魔法の毛の力をかり、ついに魔女をとらえるが、その素顔は、やはり故郷を失った一人の少女だったことを知る。シマーとソーンの語りが入り混じり、珍しく(ゲームのこまではない)主人公の個性が感じられるファンタジー。イラストは、アニメ的で合っているとは思えない。