児童書評価のページ

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このTシャツは児童労働でつくられました。

 

このTシャツは児童労働で作られました。

このTシャツは児童労働で作られました。

 

 ノルウェーに住むエミーリエは、ごく普通の女の子。安売り店で「このTシャツは児童労働でつくられました」というステッカーを貼っていた男の子の行動と彼自身にひかれる。安い服がバングラディッシュなどの劣悪環境で、安い工賃の児童労働によって作られていることを知り、彼アントニオの「世界を救おう」という活動に加わる。一方バングラディッシュの少女リーナは、連日工場でミシンをかけ続ける毎日を送る。だが、偶然会った皮の端切れ回収をしている男の子レザと知り合い、かすかなときめきを感じる。

初めはこっそりシールを貼るだけだたのに、徐々にエスカレートし始める「世界を救おう」の活動。それでいいのか疑問に感じつつも、エミーリエは何かすべきだという正義感と、アントニオへの愛がつのる。だが、ついにグループの新規メンバーが安売り店に放火をしようとしたのを阻止しようとしてアントニオとエミーリオは逮捕される。

一方バングラデイッシュの工場では火災報知機が誤作動。施錠され、閉じ込められていた少女たちはパニックをおこし、扉の前に押し寄せてリーナは圧死してしまう。H&Mの安い服の陰で犠牲があるなら、私たちがとるべき正しい行動は何?と問いかけてくるが、安易に走った時の危険も示唆するというおもしろさがある。