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血族の物語=下

 

血族の物語〈下〉 (ポプラ・ウイング・ブックス)

血族の物語〈下〉 (ポプラ・ウイング・ブックス)

 

 新しい「月のタカ族」は、水を求める旅の果てに湿原に来た。そこには、言葉を持たず、ワニをあがめる一夫多妻の湿原人が住んでいた。空想好きの少年コーは、湿原を渡る道を思いつき、湿原人と平和な交流を持つ。だが、新しく住処に選んだ地には、激しく暴力的な「魔物」のような部族がいた。血族は湿地に罠をしかけ、反撃。だが、身を守る戦いとはいえ、人間を殺した少女マナの心は傷つく。しかし、「魔物」部族の赤ん坊を救い、良いことを自分で選べるようになるように育てる事が大切だと気づくことで、マナの心は癒される。戦いと平和と回復の昔話が、本編とオーバーラップするように挟まれている。人間とは「よい」ものを自分で選ぶ力を持つ、という信頼感が、希望を感じさせてくれる。