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ザ・ロープメイカー 伝説を継ぐ者 

 

ザ・ロープメイカー―伝説を継ぐ者 (ポプラ・ウイング・ブックス)

ザ・ロープメイカー―伝説を継ぐ者 (ポプラ・ウイング・ブックス)

 

 谷は、騎馬民族の襲撃と、帝国の過酷な税により、荒れていた。やっと探し当てた伝説の魔法使いは、男が通れない森と、氷河で、谷を守る魔法をかけてくれたが、20代を経て、魔法は弱まってきた。ヒマラヤ杉に歌を聞かせ森を守る一族に生まれながら、木の声が聞こえないティルヤは、祖母のミーナを助け、川の声をきく一族の長老アルノーと孫タールの4人で、再度魔法使いを探す旅に出る。帝国では邪悪な魔法使いが互いに力を競っていた。唯一魔法の力もなく、落ち込んでいたティルヤだったが、彼女には、全ての魔法を無効にするという意外な能力が備わっていた! お約束どうりの展開だが、ディキンソンの筆力とユーモアで読める作品に仕上がっている。性悪馬のキャリコや、まだ善とも悪ともわからぬ「縄使い」など、人物の個性がしっかりしているのがいい。