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勇者の谷

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勇者の谷

勇者の谷

 

 はるか昔。化け物トローと戦い、谷を守った12人の勇者。その一人スヴェンの子孫ハリは、醜い乱暴者の問題児。一族のはみだしものの叔父ブローディアだけがかわいがってくれ、その英雄の物語に胸ときめかして育った。だが、叔父がハコンソン家に殺され、復讐を誓い家を飛び出す。だが、そこでみたのは、生家より豊かな他家。ふつうの良き父がどろぼうでもある事実。復讐だからといって他人に刃物を向けられない自分だった。だが、偶然が重なり殺人者オラフは焼死し、ハリは犯人にされかける。気が強い少女アウドに助けられ難をのがれる。その代わり、アウドと共に、トローのいるケルンの外を探検するハメに陥るが、伝説とバカにしていたトローらしき化け物に襲われる。折しも、ハコンソン家が復讐のため急襲をかけてきた情報がもたらされ、ハリはトローを使って逆襲する作戦を組み立て成功するが、ついに対面したトローの正体は意外なものだった。 醜い主人公と気の強い美女の組み合わせ、昔からの伝説の意外な真実。英雄ではない自分の自覚、と、オーソドックスにまとめているが、トローと思っていたのがスヴェン、というのはもう少し詰めないと説得力よわいかな。