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極北の犬トヨン

 

極北の犬トヨン

極北の犬トヨン

 

 政治犯としてシベリア送りとなった20歳の著者が、途中で立ち寄ったヤクート人のグランと出会う。そこで、足が不自由ではあるが、ふしぎな魅力をたたえた犬トヨンと出会う。グランがまだわかかったころ、その飼い主だった老人の死に目に立ち会い、生まれたばかりのトヨンと、孫のダーンを引き取ってから、家にはよいことが続く。賢いトヨンを立派な猟犬として仕込む日々。勝気でダーンと仲良くなるグランの娘ナータ。不思議な予知夢で先を見通すグランの妻アンナ。トヨンの賢さや、妻としたシロへの愛と、シロをうしなった時の悲嘆などまるで人間のよう。厳しい自然の中で、素朴に生きるヤクート人の生き方と重なり、とても面白い。