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言葉屋 言箱と言珠のひみつ

  

言葉屋 言箱と言珠のひみつ (朝日小学生新聞の人気連載小説)

言葉屋 言箱と言珠のひみつ (朝日小学生新聞の人気連載小説)

 

  小学5年生の古都村詠子は、本を読むなど静かに過ごすのが好きな女の子。祖母は雑貨屋を営んでいるが、実は「言葉屋」が本業。ある晩、祖母の秘密の工房にこっそり足を踏み入れた詠子は、あっさりと祖母に見つかり、言葉屋が扱う「言箱」と「言珠」について、それぞれ「言葉を口にしない勇気」と「口にする勇気」なのだと初めて教えてもらう。その日から詠子は、言珠の作り方を少しずつ教わりながら、人が思いを素直に言葉にできないときの迷いや悩みをどうすればいいか、学校の友だち関係や自分の恋心などに向き合いながら考えていく。
朝日学生新聞社児童文学賞第5回の受賞作。子どもの頃から物語を書くのが好きだったという26歳の著者の思いの丈や表現を詰め込んだ印象の文章。続編がすでに5巻まで出ているので、肩に力が入ったその感じが少しずつ抜けているといい。
小学5年生の女の子に「おもしろいので読んでください」とすすめられた本だったが、その子の小柄でおとなしい感じが主人公の詠子そのままで、等身大な出来事を体験しながら背伸びもしたい年頃に共感できる作品なのだろうと思った。